慰謝料算定の注意点

不貞行為発覚前の夫婦関係 慰謝料というのは、あなたの精神的苦痛を金銭的に慰謝するものです。
「物が壊れた」というのと異なり、精神的苦痛の大きさを金銭的に評価するのは難しいものです。
したがって、不貞の慰謝料といっても、決まったルールがあるわけではありません。

もっとも、不貞行為の慰謝料を算定するにあたり、一般的な傾向として、増額となる要素や、反対に減額となる要素があります。

相手方の不貞行為をきちんと償ってもらうためにも、以下の要素に注意しましょう。

不貞行為発覚前の夫婦関係等

不貞行為が始まった時点で、すでに夫婦の婚姻関係が破綻していた場合、特段の事情がない限り、不法行為は成立せず、不貞をした配偶者及び不貞相手に慰謝料を請求することができません(最判平成8年3月26日民集50巻4号993頁)。

では、婚姻関係が破綻していたとまではいえないが、夫婦関係が円満ではなかったという場合はどうでしょうか。
このような場合、慰謝料の減額要素になることがあります。
もっとも、単に「あまり仲が良くなかった」という程度では減額要素にはなりません。
ここでいう「円満ではない」というのは、例えば、慰謝料を請求する側も、かつて不貞行為を行っており、そのことをきっかけとして夫婦関係が悪化したという場合です。

次に、婚姻期間の長短が慰謝料の増額・減額要素になることもあります。
不貞行為は、家庭の平和を破壊する行為です。
家庭の平和というのは、短期間で形成されるものではなく、夫婦が時間をかけて構築していくものです。
一般的に、婚姻期間が長くなれば、その分、夫婦は強い信頼関係で結ばれていると考えられます。
したがって、婚姻期間が長いことは慰謝料の増額要素になり得ます。
裁判例では婚姻期間反対に、婚姻期間が短い場合には慰謝料の減額要素となり得ます。

また、夫婦の間に未成熟子がいる場合、この事実は慰謝料の増額要素になります。

不貞行為の期間・回数・態様等

不貞行為の期間が「長期間」に及ぶ場合には、慰謝料の増額要素になり得ます。
逆に、「短期間」であれば、減額要素となり得ます。

では、どのぐらいの期間であれば「長期間」と判断されるのでしょうか。
裁判例で長期間と評価された例は様々であり、短いものでは「半年程度」でも慰謝料の増額要素としたと考えられるものがあります。
逆に「短期間」と評価されたものの多くは、大よそ「数か月程度」です。

また、不貞行為を止めるように申し入れているにもかかわらず、不貞行為を継続している場合、この事実は慰謝料の増額要素になります。

さらに、不貞をした配偶者と不貞相手との間に子どもが生まれた場合、その分、不貞をされた配偶者が被る精神的苦痛は大きいといえるので、この事実は慰謝料の増額要素になります。

自分の落ち度

相手方配偶者が不貞をした原因の一端が自分にあるような場合、慰謝料の減額要素になることがありますが、そういう場合でもない限り、自分自身に落ち度が慰謝料の算定に影響を与えるケースはほとんどないと考えられます。

「自分の落ち度」ということで注意しなければならないことは、「怒りに任せて不法行為をしない」ということです。
例えば、不貞行為が発覚した後に、不貞相手の自宅へ怒鳴り込みに行ったり、不貞相手の職場に電話してその同僚・上司等の不貞の事実を告げるなどの行為をすると、それは、あなた自身の不法行為になります。
そうなると、あなたが、逆に、不貞相手から損害賠償を請求される可能性が出てきます。
不貞行為に怒るのは十分理解できますが、自分自身の言動・行動にはくれぐれも注意しましょう。

浮気したことを許してしまった

浮気や不倫が発覚したけれど、それでも相手のことを愛しているために、ついその事実を許してしまった…。
相手が今度こそちゃんと家庭に目を向けてほしいと願うからこそ、相手のことを許してしまう(慰謝料を請求しない)ということはあるかもしれません。

例えば、妻が夫の不貞を許し慰謝料請求権を免除しても、妻は不貞相手を訴えることができます。
ただ、多くの裁判例では、不貞相手に対する慰謝料請求に関し、妻が夫に対して慰謝料請求をしていない事実を、慰謝料の減額要素として考慮しています。

このように、不貞相手に慰謝料を請求する際、浮気をした相手方配偶者を宥恕した事実が存在する場合には、その事実が慰謝料の算定において減額要素となる可能性があります。

相手の謝罪をしてきた

職場内における不貞に多く見られるケースですが、不貞相手がその事実を認め、自主退職をした場合、一定の社会的制裁を受けていると判断され、慰謝料が減額される可能性があります。

不貞の証拠収集の際の注意点

違法に収集した証拠 相手のメールをたまたま見てしまったことで不貞が発覚したというケースは多いのではないでしょうか。
「不貞の証拠を発見した!」ということで、「それを写真等に残したいが、勝手にそんなことをしても大丈夫だろうか」と思うことがあるかもしれません。
以下では、裁判を見据えた、証拠収集の際の一般的なルールを説明します。

刑事裁判の場合、証拠に関するルールが厳格に定められています。
例えば、証拠の収集過程に重大な違法行為が介在していると、原則として、裁判所はその証拠を採用しません(つまり、裁判所はその証拠を見ません)。

一方で、慰謝料請求のような民事裁判の場合、刑事裁判の場合と異なり、証拠に関するルールが厳格に定められていません。
そのため、民事裁判の場合、裁判所は、証拠の収集過程に多少問題があったとしても、その証拠を採用するのが一般的であるといえます。
もっとも、証拠の収集方法はどんなものであっても許容されるのかといったらそうではありません。
例えば、暴力をふるって無理やり証拠を獲得したという場合は、その証拠は採用されないものと考えられます。
裁判例においても、「民事訴訟法は、いわゆる証拠能力に関して規定を置かず、当事者が挙証の用に供する証拠については、一般的に…その証拠能力については、これを肯定すべきものと解されている。
しかし、その証拠が、著しく反社会的な手段を用い、人の精神的、肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって収集されたものであるなど、それ自体違法の評価を受ける場合は、その証拠能力も否定されるものと解すべきである。
」とするものがあります(東京地方裁判所平成18年6月30日判決)。

このように、民事裁判における証拠は、一般的に、その証拠能力が肯定される(つまり、裁判所が証拠を見る)のですが、その判断は法律の専門家でないと分からない部分もありますので、証拠を集める際には、事前に弁護士からアドバイスをもらった方がよいでしょう。

請求できる慰謝料の具体的な金額には法律上の決まりはありません。
慰謝料の請求は、様々な事情を考慮し算定されます。
慰謝料の算定で損をしないために、詳しい弁護士へ相談をすることをお勧めします。


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