離婚届の不受理申出について

離婚届

夫婦関係が円満でなくなれば、相手から離婚話を切り出されることがあるかもしれません。しかし、相手は離婚したいと思っていても、こちらは離婚したくないという場合も当然あります。また、離婚すること自体はよいが、子どもの親権者について争いが予想される場合などには、相手から切り出された離婚話に軽々に乗ることもできません。

相手がどうしても離婚したいという場合、あなたに無断であなたの署名・押印をして離婚届を作成し、これを役所に提出してしまうかもしれません。このような行為は、私文書偽造罪(刑法159条)、偽造私文書行使罪(刑法161条)に当たり、犯罪です。しかし、法律にあまり詳しくない人であれば、犯罪であることを意識せず、勝手に離婚届を作成し、提出してしまうかもしれません。

もちろん、このような虚偽の離婚届が提出されたとしても、離婚は無効でありますので、後で争うことは可能です。ただ、「後で争う」というのは非常に面倒です。
そこで、相手が勝手に離婚届を作成して提出することを防ぐため、役所に対し離婚届を受理しないように申出ることが可能です(戸籍法27条の2第3項)。
今回は、離婚届の不受理申立てについて解説します。

1.離婚届を勝手に提出されることがある!

離婚届は、夫婦そろって役所に赴き提出しなければならないものではありません。一方だけが役所に行って提出することもできますし、家族に持って行ってもらうこともできます。さらに、離婚届を郵送で提出することもできます。離婚届に記載不備がなければ、役所はそれを受理します。

このように、離婚届の受理は、比較的簡単になされてしまいます。
比較的簡単に受理されてしまうことの問題は、相手があなたに無断で離婚届を作成して提出した場合、役所がこのような虚偽の離婚届までをも受理してしまうおそれがあることです。

協議離婚の場合、離婚届の署名・押印欄は、夫婦がそれぞれ署名・押印しなければなりません。しかし、先ほど述べたように、夫婦が協同して離婚届を提出する必要はありませんので、一方が勝手に離婚届を提出してしまう余地があるのです。もちろん、このような一方配偶者の行為は、先ほど述べたとおり、犯罪です(刑法159条・161条)。

当然、虚偽の離婚届が受理されたとしても、離婚は無効です。ただ、虚偽の離婚届であっても、いったん受理されてしまうと、その事実が戸籍に反映してしまいます。この場合、役所に「その離婚届は無効です」と申し出ても、戸籍からこの離婚の事実は抹消されません。抹消を求めるためには、裁判所において離婚無効の調停を申し出、離婚が無効であるとの審判をもらう必要があります。仮に、離婚無効の審判が下ったとしても、相手がその審判に異議を申し立てれば、審判の効力は失われます。そうなった場合、離婚無効を主張する側は、離婚無効確認の訴えを提起し、離婚が無効であるとの確認判決を得る必要があります。

このように、いったん離婚届が受理されてしまうと、事後にその効力を争うのは非常に面倒なのです。

このことは、離婚以外にも問題が波及します。例えば、子どもの親権の問題があります。協議離婚をする際、未成年の子どもがいる場合には、その親権者を離婚届に記載しなければなりませんが、相手が勝手に自分を親権者と定めて,虚偽の離婚届を作成し提出してしまうことがあるかもしれません。

このように、虚偽の離婚届を提出したとしても、その離婚は無効ですが、それを争うためには面倒な手続を経なければなりません。そこで、そのような虚偽の離婚届が提出されるおそれがある場合、事前に、役所に対し、離婚届そのものを受理しないよう申し出をすることができます。これが離婚届の不受理申出です。
以下でその内容について詳しく説明します。

2.離婚届の不受理申出とは

離婚届の不受理申出とは、いったいどのような制度なのでしょうか。これは、あなたが役所(市町村役場)に離婚届不受理申出をしていたとき、役所は、その離婚届を持ってきた者が、「あなた」であると確認できない場合にその離婚届を受理することができないという制度です。つまり、離婚届不受理申出をしておけば、相手方配偶者やその親族などの他人が離婚届を提出しようとしても、役所は受理しません。

この方法をとれば、あたなが知らない間に虚偽の離婚届が提出されることを防ぐことができます。そして、先ほど述べたとおり、いったん離婚届が受理されてしまうと、後から離婚の効力を争うのは非常に面倒ですので、勝手に離婚届を提出される恐れがある場合などには、早めに離婚届の不受理申出をしておくべきです。

3.離婚届の不受理申出する方法

提出する書面 では、具体的に、離婚届の不受理申出はどのような方法で行うことができるのでしょうか。

離婚届の不受理申出をしたい場合には、役所(市町村役場)に行きます。通常は離婚届などを受け付けている戸籍係のところに行くことになります。そして、担当者に対し、離婚届の不受理申出(不受理願い)をしたいと説明します。そうすれば、用紙(離婚届不受理申出書)を手渡されるので、必要事項を記入して提出しましょう。このとき、身分証明書や印鑑なども必要になるので、持参するようにしましょう。

離婚届の不受理申出ができれば、その後、あなた以外の者が勝手に離婚届を提出しようとしても、役所はそれを受理しません。

まとめ

相手が離婚したくてもあなたが離婚したくない場合や、親権者についての争いがある場合などには、あなた以外の者(相手方配偶者やその家族など)が勝手に離婚届を提出しないように対処する必要があります。
そのためには、離婚届の不受理申出をします。離婚届の不受理申出は、役所(市町村役場)に行って離婚届不受理申出書に必要事項を記載して提出することによって行います。


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